
多治見市陶磁器意匠研究所は
多治見市にある研究施設。
陶磁器の研究、検査、人材育成などを行っており、
人材育成の中に、ラボコースがあります。
ラボコースは、大学でいえば大学院のような感じ、
2年間の人材育成課程を終えた研究生
(外部からでも入れるようですが)
が少し教室から飛び出して、
これからの進む道を模索しながら
実践トレーニングをするコースです。
そのラボコースの前期の授業として
実際のギャラリーで展覧会をすることになりました。
昨年に引き続き2回目。
陶林春窯での開催です。
その展覧会の作品など画像にてご紹介いたします。
ishoken
Ceramics Labo.Exhibition
2011.9.9(fri)~9.18(sun)
田中恵子 Tanaka Keiko
藤内紗恵子 Fujiuchi Saeko
山田茉莉 Yamada Mari

田中恵子さんの作品。
昨年の卒業制作展では卒業制作賞をもらっています。
その時の作品はこの作品とは違いますが、
肩のあたりのブルーが印象的で、外から色をつけたというより
内側から色が染み出てきたような感じを受けました。
この作品もうっすらと青が施してあり、
地層のような色の層が土の内部にあり、
それがはがれて色が出てきているようにも見えます。

素朴で力強いお皿。
こちらは色は茶がベースですが、フレッシュなものを盛りつけたら
よく合うような気がします。

コーヒーカップも愛着のある形。
他にも色々な形があります。


上のほうに釉薬の細いライン。
ザラッとした土の質感に釉薬のガラス感。
内側から染み出てくるような感じは僕は好きです。

土が何かで包まれたような作品。
削り取って中の土を見てみたいような気がします。
原石とか、または一度埋まってしまったものを掘り出すような、
そんな時に、一瞬見えたり想像したりする
美しさの片鱗みたいなものを
この作品ということではなく
作品全般を通じて感じさせてくれる気がします。
また、そんな原石自体の美しさもあるな。
とも思ったりします。

茶碗屋さんとしては失格と思いますが、
使えるもの(使いやすいもの)を作るものいいですが、
それと同じように、使いづらいものも、
それに代わる何かが盛り込まれていたら、ありかな。
と思っています。
作り手と使い手の、器を介した、お互いの気持ちのやりとり。
ちょっと変な球でも、しっかり受け取ってくれる人がいます。
ただ、しっかり球に力を込めないといけないと思います。
そうしないと相手まで届きません。
これからも受けとってくれた人に
自信を持って”この感じいいですよね”と
いえる作品と、
共感してもらえるファンをどんどん増やしていってもらえたらな。
と思ってます。

こちらは藤内紗恵子さんの作品。
焼きしめた磁器に低い温度で焼成する釉薬が施してあります。
ガラスのような釉薬。
窯の中で色々な変化をするようで、
青から、紫、赤に近い色までグラディエーションがきれいです。

お皿は色々なサイズで作ってくれました。
本当に一枚一枚雰囲気が違っていて、
同じようなデザインのお皿なのに、
(割とカチッとしたデザインですが)
陶芸的な魅力のある作品です。
ある程度決めた枠の中で、変化を出すことで、
一枚一枚の個性が出ていて、
結果的に個性を引き立てているようです。

同じ藤内さんの作品で、同じ土と釉薬を使った作品。
こちらは形も変化をつけ、より釉薬のイメージに合わせています。
どことなく貝殻のような、自然界にある美しいものの雰囲気を持っています。
”実際盛り付けるとどうなんだろう?”
という声もありましたが、僕はすんなり器としてもいけると思っています。
ただもし要望するとしたら、
作家としての強めのストレートはそのまま磨きをかけながら、
切れ味のあるカーブやフォークも大切な気がします。
(例えがうまくなくて、ごめんなさい)
具体的には、この作品の中にある色々な要素を、
少し切り分けて、それぞれの美しさを追求して見たらどうかなぁ
と思っていて、見込みの凹凸の釉薬のたまった部分、だけで表現してみるとか、
縁の少しびりびり(ギザギザ)した部分だけで見せてみるとか、
釉薬が面白いだけに、それだけでもグッとくる器ができるように思います。

藤内さん本人も、たぶん十分その辺は承知していて、
今回はこの釉薬を試す意味でも、
割とカチッとしたデザイン的なお皿と、
上のような動きのある器の両端を出してきたんだと思いますので、
またこれから、中間という言い方も違うかもしれませんが、
この器の美しさの大事な部分にちょっとずつ焦点をあてて、
進めていってほしいな。と思ってます。


花もよく合います。

釉薬から離れて形というもので表現した作品。
入れ子のシリーズです。


こちらは山田茉莉さんの作品。
土瓶に真鍮の取っ手のデザインが面白いです。

取っ手は、土でできたものもあり、持った時の土の感触も新鮮でした。

土瓶のサイズもおおらかで、やさしい雰囲気です。

湯呑みにも柄が施してあり、派手な釉薬ではないですが、
使っていて愛着の持てる湯呑みだとおもいます。
サイズ感も良さそうです。
ちょっと径が大きかったら、ロックグラスみたいにして、
焼酎とかもいいかな。

瓜(瓢箪)をモチーフにした花生け。
のびやかな形が心地よいです。

スタッフが活けてくれました。
乾燥したハスの花。

こちらは少し秋の様子。
シルエットは本当にきれいです。
また、ひとつでも良いのですが、
2本、3本並べると、寄り添って見えたり
何か人のように見えたりして、
並べる楽しさもあります。
こんな自由なのびやかな感じで、土瓶や器もできたら楽しいだろうな、
と思いながらも、やはり土瓶なんかは制約があるので、
形状が難しいとは思います。
でも、なんとなくこの瓢箪のような雰囲気の土瓶や注器が並んでいる姿を
みてみたいな。という気がしてます。
いつも、言うのは自由で作るほうは大変なのですが、
ひとつよろしくお願いいたします。

かわいらしい箸置き。

少し違う作風の作品。
こうした作品も少しづつ育ててもらって、
どんなふうに変化してゆくのか見てみたいと思います。
おまけ
実際のギャラリーで作品を見てもらうという事で、
たくさんのお客さんに意見を聞いたり、褒めてもらったり、
厳しい意見もあったかもしれません。
今回の授業は、先生はお客さんでした。
まずは、見に来てくれるかどうか不安の中、
作品のクオリティーはともかく精一杯、作品を作り、
いいね。といってもらったり、買ってもらったり。
お店に立って話を聞いたことや感じたことを大切にしてもらえたら嬉しいです。
本当の事を言うと、作品についての細かなことは
あまり重要に思ってないんです。
これから陶器に携わっていく魅力や動機をつかんでほしいと思ってます。
買ってくれたり見に来てくれたお客さんの為にも、
その時精一杯の作品を作り、自信をもってお客さんに投げかけてほしいと思います。
それはプロとして、今後活躍していく上での最低条件です。
3人とも本当によく頑張ってくれました。
今後も期待してますよん。