utsuwa + trip


Final Fire



岐阜の小高い山並みの中。

ゆったりと流れる時間の中、この工房はあります。


今回は工房のお引越しのため、この場所での最後の薪窯となります。


最後の窯焚きのお手伝いにご招待していただき、

utsuwaの旅にでかけました。




多治見から一般道で50分くらい。

お寺でもあるこの工房、お寺の番をしながら20数年。作家さんそのもののような思い出深い建物です。

私がはじめて訪れたのは、ギャラリーを始める前。15年ほど昔になります。




普段手がける作品は、ガス窯で焚く青白の美しい作品。


この薪窯は、年に数回焚いてきました。

作家さんがこちらで作陶をしようと決めたとき、

窯のレンガをひとつひとつ焼くところから手作りで創った、

焼物の原点のような窯です。


崩れかけては補修をし、今活躍する若手の有名作家もずいぶんこちらの窯で

勉強させてもらいました。



お伺いしたのは2日目と最終日の2回。


2日目は窯の焚口を小さくする作業を見ることができました。

最初は大きな丸太をゆっくり燃やしてあぶる感じですが、

だんだん薪に切り替えて、焚口も狭くしていきます。



焚口の枠をつける粘土づくり。

段取り良く、裏山の堀土と粘土をすばやく混ぜて、準備OKです。



この様に設置し、隙間を先ほどの粘土で埋めていきます。



今回使う薪の一部。

相当の数の薪がいります。最後のほうは、温度を上げる為に

薪を小割りに細くしていきます。

この作業もなかなか重労働です。



一週間ほど焚き続けるには、体力が一番大事です。

温かいスープやお酒で体を温めながら、あとは精神力。



粘り強く火の面倒をみたら、最後には見たことのない様な火のパワーに圧倒されます。

窯のレンガの隙間や煙突から、火の手が立ち上ります。


この頃になると、正面だけでなく横の穴からも薪を投入し、

熱さとの戦いです。



手早く薪を投げ込んでゆく作業。

動きひとつひとつが美しく、最後の窯への思い。

言葉以上に人の動きは、その思いを伝える事ができるのだな。

と思いました。


器作りもその想いを器に移していくような作業。

そんな事をあらためて感じる時間でした。




このまま朝まで焚き続け、この場所で窯と格闘した日々の

最後を飾るにふさわしい窯になりました。


名残惜しさとともに窯場を後にしました。




この縁側でお茶を飲みながら

器の話や世間話、子供の話などしながら

作品を見せてもらったのを思い出します。


僕にとっても原点のような場所です。




いつまでも心に残る工房です。

おわり