多治見市陶磁器意匠研究所

第8期セラミックスラボ前期制作発表展

2010.9.17(Fri)~9.26(Sun)

金井祐美 久世康浩 田中陽子


意匠研セラミックスラボの3名による制作発表展です。

今回は研究所の前期の授業として実在のギャラリーでグループ展を

開くという課題となっており、春窯にて開催することとなりました。


普段自分と向き合うことで作品を作り込んでゆく作業が中心ですが、

実際ギャラリーに並ぶことを想定したり、作品に値段をつけたり、

お客さんと接したり、作品を買ってもらったりと

慣れない事や戸惑うことの連続だと思いますが、

自分の作品を少し視点を変えて見てみたり、遠くから眺めたりすることで

今の自分の立ち位置が見えてくるのかな、とも思います。


非常に厳しい課題でしたが、

夏休み返上で緊張感をもって制作してくれた作品の一部を

ご紹介いたします。


今回は写真の枚数が少し多いですが、最後まで見ていただけたら

うれしいです。




金井祐美さんの動物のお面。見る角度によって表情が変わります。

器なんかも見る角度で雰囲気が変わったりしますが、具象のモチーフだとより一層で面白いです。



金井さんの人形。遠くを眺める少年。

想いがはるか遠くに行っている感じ。誰かを待っているようにも見えます。



この写真では3人が歌っているように見えます。

お面は見る角度や光で表情を変えますが、人形は置かれた場所や他の人形との関係で

いろいろな雰囲気をつくりだします。



今回の人形シリーズ。一見無表情に見えますが、よく見ていると

色々な表情があります。



人形の世界から飛び出したような器。

クレヨンで表面を描いた、というよりクレヨンそのもので作ったような質感。

柔らかくて楽しげな器。



今回は自由制作の課題に加えてもうひとつ、茶器が課題です。

実際にお客さんにお茶を振舞う事を考えて、

お茶の種類、お茶菓子も茶器と一緒に考えてもらいました。

金井さんは、僕が今まで飲んだ事のない種類のハーブティーと動物の顔のクッキーでした。

作品とぴったりで楽しかったです。



人形と器。一緒に食卓の上にあっても面白いかも。

そう思わせる作品です。




田中陽子さんの片口注器。

本当に美しいフォルムの作品です。

底面はなだらかに丸みを帯びていて、注器自体がゆらゆら動きます。

こちらは茶器の課題の作品で、

想定しているお茶は氷出しの緑茶(ほうじ茶)です。

お茶の葉を底にひき、氷を盛り付け、

溶け出しだ氷水でお茶を抽出して注ぐというものです。

ゆらゆらした動きも涼しさを演出してくれそうです。



こちらは桃色。内側は結晶の出る釉薬がかかっていて、霜のように見えます。



窓辺に置いた磁器のカップ。

日の光が射すと透けて見えて、ガラスにはない柔らかな光をとおします。

薄い磁器は中の液体の色も透けて見えることがあります。

このカップも透けるかも。

一度試してみたい器です。



氷で出したお茶のしずくを取り分ける杯。

少しゆがんだ所や内側の釉薬の流れてたまった部分がきれいです。



自由制作のプレート。

盛り付けしたときにソースなどで演出しやすいように三日月状に窪んでいます。



こちらも自由制作のプレート。

生地に彫られた線がうっすらと浮かび上がっています。



結晶の釉薬の濃いところと薄いところで生地の線が見え隠れしています。

こうした部分に魅力を感じたりするのは陶器の文化に浸っているからでしょうか。

大切にしたい感覚のひとつです。(個人的に)


余談ですが、ある先生の「焼物の景色」という文章に

鉄粉、ピンホール、貫入、ちぢれ、切れ、等々

焼物には焼成時におきる様々な欠点と言われる現象がある。

これらをその焼物が持つ個性と受け入れた文化がある。

長年使う間にこれらの欠点がいとおしく思われる。

そんな物に対する思いやりが先人達にはあった様に思う。

とあります。

現代、感覚は変われどそれぞれの個性を受け入れる度量は

引き継がれていると思いたいです。

自分のコレというものを見つけて育てて、

思い切りぶつけてみるのも大切なことと思います。

僕ら受け手は、そんな物に対する思いやりを身につける努力が必要です。




久世康浩くんの自由制作。

オブジェ。



久世くんは時間の経過で崩れてゆく様子などに興味があり、

この作品も遺跡や廃墟を思わせる作品です。

こうした作品は草花などを添えると良く合います。



茶器の課題制作。

伝統技法のとびかんなを使ったテクスチャーを原型にし、

鋳込みの方法で制作しています。

口当たりも良く、大変飲みやすいです。



ティーカップと揃いのポット。



白磁のティーカップに上絵を施したもの。

使い込んだような不思議な味わい。

今回は真っ白よりもこちらの上絵をしたほうが人気があったようです。



上絵も色々な種類があり、並べるとそれぞれいいです。

お客さんも皆さん真剣に選んでいました。



内側も上絵がしてあります。

久世くん家自家製のレモングラスのハーブティーを

白磁の上絵のない方ではいただきましたが、

こちらのカップも良く合いそうです。



以上ご覧いただきありがとうございます。

また、これから活躍が期待される3人ですので、

応援よろしくお願いいたします。